脱退一時金と社会保障協定

国際化が進み、外国で働く日本人は多くいます。
逆に、日本に住む外国人もたくさんいます。

その場合に困るのが、自国の年金制度と滞在国の年金制度に二重加入しなければならなくなってしまうことです。

それを解決するために結ばれたのが社会保障協定で、二重加入を防止し、それぞれの保険料納付済期間を通算します。

社会保障協定によって、保険料納付が片方の国のみで良くなり、保険料納付済期間も通算されるので、受給資格期間を満たせないといった問題もなくなるのです。

2015年1月現在、日本と社会保障協定を締結している国は次のとおりです。

協定の状況 国名
発行済み ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー
署名済み未発行 イタリア・インド・ルクセンブルク

なお、イギリス、韓国、イタリアについては、「保険料の二重負担防止」のみです。「年金加入期間の通算」は通算されませんのでご注意ください。

社会保障協定締結国の場合は脱退一時金の請求は不要

上記の国の内、イギリス、韓国、イタリア以外については、年金の加入期間が通算されます。

例えば、日本に来た外国人が、日本の保険料納付済期間1年と自国の年金制度の保険料納付済期間39年を通算して、将来、40年を対象とした自国の老齢年金を受給できるのです。

ただし、脱退一時金の支給を受けると、その期間は被保険者でなかったものとみなされてしまいます。

脱退一時金の支給額を見ていただければわかりますが、月数に応じた額が一回支給されるだけです。

一方、老齢年金で支給を受けると、受給開始から亡くなるまで支給されます。

どちらが得かは一目瞭然ですね。

社会保障協定を締結している国であれば、脱退一時金を請求するのではなく、日本と当該国との年金加入期間を通算し、将来、どちらかの老齢年金を受給しましょう。

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※法改正により、執筆当時と閲覧時で差異が生じる可能性があるので注意してください。
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