年金はいくつもらえるのか?

少し前に、次のような内容の質問をメールにていただきました。

「障害基礎年金受給者が65歳になった時に、障害基礎年金と老齢基礎年金の両方とも貰えませんか?」。

確かに、複数の年金の受給条件を同時に満たすことがあり、実際にこの質問者の方と同じよう思った方も多いはずです。

しかし、国民年金は『一人一年金の原則』で、1種類しか年金を受給できないようになっています。

国民年金は、日本国憲法第25条第2項の「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」を基本理念にしているので、必要以上の社会保障はしないのです。少子高齢化で年金資金に余裕はないですしね。

ですから、上記の質問に対しては、「老齢基礎年金か障害基礎年金のどちらか一方しか受給できません。」という回答になります。

実際には、受給できる年金の内、一番金額が多くなる年金を選択することになります。

例えば、障害等級1級なら老齢基礎年金の1.25倍ですし、障害等級2級でも条件に該当する子がいれば加算されるので障害基礎年金の方が受給額が多くなります。

このように、条件によって金額が異なりますので、どの年金を選択すればよいかわからない方は、お住まいの地域の年金事務所で相談してください。

また、年金受給中でも新たに他の年金の支給要件を満たした時は裁定請求する必要があるので、その際に、年金受給選択申出書の「年金額が多くなるほうを選択する」を選べば受給額が多い方の年金が支給されます。詳しくは、受給年金の変更の仕方をご覧ください。

以上、一人一年金の原則について述べてきましたが、例外として複数の年金を受給できる場合があります。

下記で、その組み合わせについて説明したいと思います。

複数の年金を受給できるケース

(1)同一の支給事由の年金は併給される
年金の併給
国民年金は1階、厚生年金保険は2階という体系のため、
・老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
・障害基礎年金 + 障害厚生年金
・遺族基礎年金 + 遺族厚生年金
は併給されます。

(2)65歳以上であれば支給事由が異なる次の組み合わせでも併給できる
年金の併給
・老齢基礎年金 + 遺族厚生年金
・障害基礎年金 + 老齢厚生年金
・障害基礎年金 + 遺族厚生年金

(3)旧法との組み合わせで併給できる場合
年金の併給
・老齢基礎年金 + 旧厚生年金保険の遺族年金
・旧国民年金の老齢年金 + 遺族厚生年金
・旧厚生年金保険の老齢年金の2分の1 + 遺族厚生年金
・旧国民年金の障害年金 + 老齢厚生年金
・旧国民年金の障害年金 + 遺族厚生年金

(4)老齢基礎年金と付加年金は併給される
同じ年金ではありますが、付加年金自体が老齢基礎年金の上乗せを目的としているので、当然に併給されます。

(5)複数の障害等級は併合される
例えば、障害等級2級の受給者がさらに障害等級2級の障害を負った場合、それらを併合して障害等級1級となります。その場合、従前の障害基礎年金の受給権は消滅します。

以上のように、違う種類の年金を併給できる場合もありますが、結局は、国民年金と厚生年金保険からそれぞれ1つしか受給できないのです。

それでも、複数の組み合わせの中から一番受給額が多くなる組み合わせを選べるメリットがあります。

※法改正により、執筆当時と閲覧時で差異が生じる可能性があるので注意してください。
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