遺族基礎年金の遺族とは誰?

以前は『子のある妻または子』しか受給できなかった遺族基礎年金ですが、社会保障と税の一体化により消費税が5%から8%に引き上げられた平成26年(2014年)4月1日から、『子のある配偶者または子』というように夫も遺族基礎年金を受給できるようになりました。

さらに解りやすくすると、
平成26年3月31日まで 子のある妻・子
平成26年4月1日から 子のある夫・妻・子
となります。
詳しくは、次の図を見てください。

遺族の範囲

なぜ、今まで夫は遺族基礎年金を受給できなかったのか?は疑問ですが、近い内容の法律として労働基準法67条に育児時間というものがあります。

生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほか、1日2回各30分の育児時間を請求できる。ただし、1日の労働時間が4時間以内の場合は1回30分とする。
という法律ですが、男性は育児時間をとれません。

おそらく、両法律とも、男性は労働し、女性は家事・育児に専念するという昔ながらの考えに基づき作られたもので、時代の流れに伴い主夫という存在や女性の労働意欲の向上で男女平等がより鮮明になり、夫も遺族基礎年金を受給できるようになったものと思われます。

その流れが続くならば、いずれ男性も育児時間を取れるように法改正される時が来るかもしれません。
ちなみに、この育児時間中の有給・無休は当事者間の取り決めで自由とされています。

では次に、遺族基礎年金の受給資格について詳しく解説していきます。

夫・妻・子に共通の要件

被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持していたことが必要です。
ただし、胎児は除く(後述)。

なお、生計維持の認定は、被保険者と生計を同じくし、かつ、年収850万円以上の収入または年額655万5千円以上の所得を将来にわたって有しないと認められるこことされています。

夫・妻の要件

(1)被保険者または被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたこと
これについては、上記の夫・妻・子に共通の要件を参照してください。

(2)下記に該当する子と生計を同じくすること
夫と妻は条件に該当する子がいないと支給されません。
(1)と(2)を両方満たした時に受給権者となれます。

(3)事実上婚姻関係にある者も含まれる
実際に婚姻関係になくても、事実婚でも遺族基礎年金の受給権者になります。

子の要件

(1)18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者
解りやすくすると、「高校を卒業した年の3月31日まで」となります。
ただし、実際に高校に行っているか否かは問いません。

(2)20歳未満であって障害等級1級・2級に該当する障害の状態にある者
通常は高校を卒業した年の3月31日までですが、障害等級1級・2級の場合は満20歳まで遺族基礎年金の受給資格者になります。3月31日までではなく、満20歳までなので注意してください。

(3)婚姻していないこと
結婚すると法律上は成年として扱われるため、(1)または(2)に該当しても遺族基礎年金の受給資格者にはなれません。

(4)被保険者等の死亡の当時胎児であった子も遺族基礎年金の受給資格者
将来に向かって、その子は、死亡の当時その者により生計を維持していたのもとみなし、妻は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされます。

(5)事実上の親子関係にある子は含まれない
養子縁組が必要です。

遺族基礎年金の制度解説

※法改正により、執筆当時と閲覧時で差異が生じる可能性があるので注意してください。
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